ムーンショットとは何でしょうか。1961年、ジョン・F・ケネディー大統領は米国議会で演説を行い、人類を月に着陸させ、無事に地球に帰還させる目標を示しました。国民の圧倒的多数がこの計画に反対しました。米国国民の実に58%がこの構想に異議を唱えたのです。では、一体なぜそんなことをするのでしょうか。
1962年9月12日(今から57年前)まで時計の針を戻してみましょう。ケネディー大統領は、私の地元であるここテキサス州ヒューストンにあるライス大学で、4万人の聴衆を前に演説を行いました。この演説は60年近く経った今も記憶に残っています。それは夢というか、むしろ説得力のあるビジョンを示したものだったからです。
「我々は月へ行くことを選びました。我々は月へ行くことを選びました・・・我々は今後10年以内に月へ行き、さまざまなことを行うことを選びました。それは容易だからではなく困難なことだからです・・・」
そして7年後、人類初の月面着陸によってそのビジョンが現実のものになったことは言うまでもありません。
同様に、アスペンテックも実現可能なことの限界を押し上げることに常に目を向けています。最近の例として、エネルギー業界向けと化学業界向けの業界をリードする生産最適化ソリューションが挙げられます。アスペンテックのSupply Chain Managementスイートは、既存アスペンソリューションに加えて数多くの新しいV11機能が搭載され、熱狂的なお客様への本格導入が進んでいる今、心躍る時期を迎えています。私たちはそれらの新機能、その種で初めての機能であり、私たちがアスペンテックにとっての「ムーンショット」と表現する機能に大きな期待を寄せています。
当然ですが、その言葉の意味は、ケネディー大統領が1962年の演説の中で生み出した文字通りの意味とは少し異なります。しかし、近年、技術的な意味での「ムーンショット」を世に広めたのはGoogleです。X(旧Google X)開発部門は「ムーンショット」を「大きな問題であり、抜本的解決策であり、画期的技術であるもの」と説明しました。
そうした定義が成り立たないでもありませんので、ここはひとつこの枠組みを使って、Supply Chain Managementの新機能の画期的な点をお伝えしたいと思います。
大問題:計画と実行のギャップの解消
製造環境において常に問題となることの1つは計画が計画通りに進まないことです。私たちが住む世界は驚くほど複雑であり、改善に兆しはありません。平均的な製造プラントは無数の相関プロセスを扱っており、1つの不具合が何百もの不具合の原因になりかねません。
こうした計画と実行のギャップの解消は、人類の月面着陸と同じくらい困難なことに思われるかもしれません。企業は常々、このギャップを放置することで著しい価値を失っています。
Hexion社のグローバルサプライチェーンおよびアナリティクスソリューション担当シニアマネージャーであるジョージ・バートマンズ(George Baartmans)氏は、「必要なあらゆる計画作成を行うことができますが、スケジューラーがその計画に合わせてスケジューリングしなかったら話になりません。我々の収益は、スケジューラーが自社にとって財務的に最適になるように合わせた計画の実行によるところが大きいのです」と指摘します。
抜本的解決策:拡張可能で持続可能なチーム調整
製造環境では毎日が実行の戦いです。状況が変化した場合、即座に優先順位を変更し、その変更をチームに展開し、変更の影響を把握するプロセスと能力が必要です。
現在、これは小さなサイロ内ではうまくいきますが、製造施設全体あるいは製造ネットワーク全体にわたってうまく行うことは通常容易ではありません。アスペンテックの抜本的解決策は、企業規模で人やプロセスを拡張可能かつ持続可能な形で調整することを可能にします。
拡張可能な調整ソリューションがあって初めて大きな生産性向上が実現し、計画と実行のギャップを解消して価値を創造することが可能になります。
画期的技術:サプライチェーンとオペレーションの調整と自己修復型サプライチェーン機能の組み合わせ
アスペンテック独自の総合的なソリューション群は、当社がサービスを提供している業界においてまさに画期的技術と言えるサプライチェーンの構築を実現してきました。他の追随を許さない2つの機能を紹介しましょう。
- サプライチェーンとオペレーションの調整:Aspen Schedule Explorer™およびGoals vs. Actuals
まず、サプライチェーンとオペレーションの調整は、目標すなわちKPIを達成できるかどうかがすべてです。サプライチェーンとオペレーションの調整、および生産目標に対するリアルタイムの可視性によって初めて、リソースの潜在能力を最大限に引き出すスケジューリングが可能になります。
Aspen Schedule Explorerは、現代の絶えず変化する環境に適応するために必要とされる拡張可能で持続可能な調整とコミュニケーションを可能にします。Goals vs. Actualsを使用すると、指標のライブトラッキングによりチームの説明責任が確保されるほか、月末分析によりコンテキスト別にパフォーマンスを把握し、根本原因や常に目標を達成し続けるために必要な対策を明らかにすることができます。この2つの強力な機能により、プラントマネージャーから3直の新任オペレーターまで、すべての従業員が常に正しい意思決定に必要な情報を得ることが可能になります。
オペレーションのサイロを解消し、最新情報の可用性を確保し、協調環境を生み出すことが、チームの生産性を引き出すための強力な「レシピ」です。
- 自己修復型サプライチェーン:Aspen Plant Scheduler™、Aspen Mtell®、およびSmart Calibration
もう1つの重要な機能である自己修復型サプライチェーンは、現実(切替時間、サイクルタイムなど)を可能な限り正確に表現することを可能にします。Smart Calibrationを使用すると、チーム調整とほとんど同じ方法でモデルやデータを調整することで、実証済みのプラント/装置/プロセスパフォーマンスに合わせてサプライチェーンモデルを容易に調整することができます。
自己修復型サプライチェーンのもう1つの側面は、Aspen Plant Schedulerの高度な最適化アルゴリズムと併せてAspen Mtellの機械学習を利用することです。それにより、製造目標や顧客納品に対する混乱を最小限に抑えながら予期しないダウンタイムに対処することが可能になります。
これらの機能が相まって、強力な処方的アナリティクスと予測的アナリティクスが連携して比類のない価値をもたらす弾力的なサプライチェーンの構築につながります。
ムーンショット
結局、AspenTech Supply Chain Managementにとっての「ムーンショット」の意味とは何でしょうか。その意味はビジョンと目標のために懸命に努力することです。イノベーションによって限界を押し上げることはアスペンテックのDNAに組み込まれています。だからこそ、一貫して技術の進歩によって新たなレベルの価値創造を実現してくることができました。
アスペンテックは現在、ほんの少し前までSFの世界と考えられてきたことに取り組んでいます。ケネディー大統領が最初に語ったときに夢物語のように受け止められた元祖「ムーンショット」と同じように。この先、これらの機能によってお客様がどのような進化を遂げるか楽しみです。
さらに詳しい情報が必要な方は、atj_marketing@aspentech.comまでお問い合わせいただくか、アスペンテックウエブサイトのSupply Chain Managementページをご覧ください。
- ※本記事は、下記Aspentech Blog 内英文記事の参考訳です。
Leave A Comment